メルボルンスタイルのカフェが逗子にフィットしたワケ|【BREATHER COFFEE(ブリーザーコーヒー)】

※写真は『BREATHER COFFEE』オーナーご夫婦の、長谷川晃平さん(左)と、瑞穂さん(右)

メルボルンには自販機がない!? カフェは日常に溶け込んだ“あって当たり前の場所”

JR逗子駅からほど近く。横須賀線の池田通り踏切から、銀座通り入口交差点までの県道311号線を池田通りといい、道路に沿って約70の店舗・事務所がある池田通り商店街。『BREATHER COFFEE』はこの一角にあり、白を基調とした外観が目を引きます。

池田通り商店街にある店舗。2018年5月にオープンしました

 

店内も同様で、ホワイトをメインとした色使い。天井が高いので開放感があり、広く大きな窓も各所にあるので日の光が差し込み、心地よい空間です。店内にはカウンター席が12席、イートインはもちろん、混んでいればエントランス横にある椅子にかけて飲むこともできますし、あるいはコーヒーのテイクアウトもできます。

広々とした店内には緑も配置。カウンター席が12席あります

日本でカフェや喫茶店というと、木目調のインテリアでシックな雰囲気をイメージしますが、それとは一線を画すようです。晃平さんがカフェを学んだメルボルンにルーツがあるとか。

「現地にも木材をふんだんに使い、いい意味でのほの暗さのあるカフェはありますが、白色を大胆に使い光も取り込み、明るい雰囲気を楽しむカフェがメルボルンには多く、あえてそれを再現しました」

驚いたのは、コーヒーを飲んだり会話を楽しむ様子、晃平さんと瑞穂さんが並んで微笑んでいるなど、窓に描かれたたくさんのイラスト。これって?

「常連のイラストレーターさんが、カフェにいるお客さんをトレースして描いてくれました。逗子では毎年アートフェスティバルがあり、『BREATHER COFFEE』も一緒に盛り上げたいねと話していたら、出てきたアイデアです(笑)」

地元にはクリエイターの方がたくさん住んでいて、いまでは店舗でワークショップを開催することも。地域のコミュニティとしても愛されているようです。

お店の窓には常連さんが描いたイラストがたくさん。道行く人を楽しませ、気になってついつい入ってくることも!

「コーヒーを飲みながら、みんなが会話を楽しむのもメルボルンならではで、私たちが目指すところでした。じつは、向こうには自販機がほとんどなく、その代わりにカフェは10歩歩けばぶつかるほど、たくさんあります。日本人が自販機で缶コーヒーを買うような感覚でカフェに立ち寄るのが当たり前で、日常に溶け込んだ場所なんです。早朝からオープンしているので出勤前にコーヒーを飲む人が多く、会社のそばにある店舗だと、そのままミーティングが始まるほどでした」

こだわりのカフェを目指してメルボルンへ  約5年間の修行を経て帰国を決意した

神奈川県の大船出身という晃平さん。大学を卒業後は東京都内の会社で、イベント関係の仕事に就いていました。ただし、「いつかカフェを開きたい」と思っていて、それを実現すべく3年で退職し、鎌倉のカフェに1年間勤めることに。

「鎌倉で働きながらも『どうせ始めるなら何かこだわりたい』と考え、たどり着いたのがコーヒーです。そこで色々と調べてみると、メルボルンが世界で最もコーヒーカルチャーが盛んで、各国から焙煎の技術を学びたい、コーヒーを淹れるプロであるバリスタを目指してやってくる人が多いとわかりました。カフェのクオリティも高く、スターバックスが唯一進出できなかったほどです。私もここで腕を磨きたいと思い、2013年にワーキングホリデーを使い現地に渡りました」

晃平さんはバリスタの学校に通ったり、いくつか店舗で働く機会も経ておよそ1年後、現地では有名な『Krimper(クリンパー)』というカフェで採用が決まりした。

「それで安心というわけではなく、仕事を失わないために、日本人が得意とする気配りを武器に人の倍は働き、英語が苦手なぶん仕事の頑張りを認めてもらいました」

すると、半年後にはバリスタをまとめるヘッドバリスタを任されるように! 以降は就労ビザも取得して、2017年12月に帰国するまで『Krimper』で修業を重ねました。

「スキルや知識だけではなく、日本にはない接客の在り方も学んだと思います。向こうはコーヒーや食事にこだわりながらも、肩ひじを張らないフランクな接客が特徴です。だからこそ、お客さん同士や店員との会話も弾み、なくてはならない場所になっています」

メルボルンで約5年間の修行を積んだ晃平さん。コーヒーは豆や気候によってベストな淹れ方があるらしく、それぞれのレシピを壁に貼っています

一方、広島県出身の瑞穂さんがメルボルンに移ったのは、晃平さんとほぼ同じタイミング。それまでは県内のカフェなどで働いていましたが、「英語を学びたかったり、別の国から日本を見たいと思いました」と、当時を振り返ります。現地では晃平さんと別のカフェで接客などを担当していましたが、『Krimper』がスタッフを募集していたのでお店に行ったところ、マネージャーをしている彼と出会いました。「『Krimper』では働きませんでしたが、それをきっかけにお店に行って話すようになり、今日にいたります(笑)」

晃平さんとともに、お店を立ち上げた瑞穂さん。公私のパートナーとして大活躍しています

その後、就労ビザを取得してから2年が経ち、晃平さんは永住権を取れるチャンスが訪れました。ここでも悩んだそうですが、「5年近くいて学んだことが身につき、次のステージに行きたい」と晃平さんは答えを出します。そこで、瑞穂さんが帰国した2017年7月に晃平さんも一時帰国して、いくつかカフェを回ったりするなか、「日本でメルボルンスタイルのカフェを開こう」と決心。12月中には晃平さんも引き揚げて神奈川県の藤沢市に住み始め、年明けには入籍もすませました。

縁もゆかりもない逗子だったけど メルボルンに似た雰囲気に好感触!

出店場所を神奈川県内に決めたのは、晃平さんなりに理由がありました。

「こだわったのは、メルボルンでは主流の『スペシャリティコーヒー』のお店にしたいということです。これは、深煎りとは反対に浅煎りで酸味を楽しむもの。ただし、こういったカフェは東京で増えていて、まだ馴染みのない神奈川エリアで出店した方がいいと思ったのです」

最初はみなとみらいなど横浜、さらには鎌倉でも物件を探しましたが、建物の問題や賃料の面で折り合わず、カフェビジネスには合わないということで見送る日々が続きました。

「横須賀には米軍のベースがありアメリカ人が多く、私たちは英語が話せるので候補に挙げましたが、ここも条件面で諦めました。そんなころ、鎌倉と横須賀の間に逗子があるけど、どういったところなのかなと思い立ちフラッと立ち寄ったところ、ここには池子米軍家族住宅地区があることから外国人がいて、海が近いなど自然も豊か。JRや京急線を使うと横浜はすぐ、首都圏にも1時間あれば通えるので、ゆったりと子育てをしたい人たちもたくさんいるとわかりました。雰囲気がメルボルンに似ていて、私たちが目指すようなカフェもなく、経営的にもいけるだろうとピンときたのです」

そして見つかったのが、池田通り商店街にある、元は整体院だったという空き店舗。快く貸してもらうことができ、2018年3月に賃貸契約を交わしました。

「それからは改装工事が始まり、備品の仕入れなども進めることに。手持ちの資金や金融機関からの融資を使い、なんとか1000万円の予算に収めることができました」

イメージ通りに完成したカフェ。開業にあたっては金融機関の融資も活用しました

さらに、逗子でお店を開くということで、おふたりも藤沢から引っ越すことに。「店舗を仲介してくれた不動産会社に相談したら、店舗から自転車で10分もかからない場所にある3DKの物件を紹介してくれました。オーナーさんにお会いしたら『地元で頑張る若者を応援したい』とおっしゃっていただき、なんと最初の1カ月はフリーレントに! とても助かりました(笑)」

メルボルン直伝。他にはないコーヒーや フードメニューが瞬く間に話題!

こうした経緯を経て、2018年5月にオープンした『BREATHER COFFEE』。朝からカフェに来る文化を広めるべく、平日は朝7時、土日は8時からオープンしていて、すでに地元では知られたお店になっています。

「皆さん朝は忙しく、駆け足で駅に向かうサラリーマンが多いのですが、もっと朝カフェを定着させられれば。おかげさまで、午後のコーヒータイムは地元の方を中心に常連さんも増えました。ゆったりとした雰囲気がそうさせるのか、自由な発想をお持ちの方が目立ち、それが窓のイラストやワークショップにもつながっています」と、瑞穂さんも手ごたえを感じているようです。

肝心のコーヒー豆は、メルボルン時代に知り合い現地ではプロからも高い支持のあるロ―スターの「Maker Fine Coffee」から直接輸入、国内で扱うのは『BREATHER COFFEE』だけです。

コーヒー豆はメルボルンの有名ロ―スター「Maker Fine Coffee」から焙煎後のものをお取り寄せ

現在使っている3種類の豆の場合、エチオピア産の「コチュレ」はフローラルやパイナップルに近い香り、グアテマラ産の「フィンカサレー」はシトラスフルーツの香りやキャラメルのような甘さ、ケニア産の「カルジロ」はぶどうやプラムのフレーバーがするとか。「最初に飲んだ方はビックリしています」(瑞穂さん)

色んなタイプのコーヒーメニューを用意。豆を挽くグラインダーは2種類あって使い分けるそうです。エスプレッソマシンは世界的ブランドの「LA MARZOCCO(ラ・マルゾッコ)」

さらにコーヒーは、エスプレッソマシンから抽出する「ホワイト(エスプレッソ+ミルク)」、「ブラック(ミルクなし)」、「フィルター(フィルターコーヒー)」の3タイプを用意。「エスプレッソ」やエスプレッソに熱湯を注いだ「ロングブラック」、泡立てたミルクを加える「フラットホワイト」など、多種多彩なメニューを提供しています。

晃平さんが淹れた、「フラットホワイト」。 オーストラリア発祥のコーヒーで泡のミルクが薄くミルキーな口当たりが楽しめる逸品です

 

こちらは「カフェラテ。メルボルンではホットでもグラスで出るそうで、こういった点もメルボルンと同じ

フードメニューは、すべて瑞穂さんによるお手製。どれもがメルボルンではお馴染みです。
「キャロットケーキはどの店にもあり、トーストしてバターを塗って食べるバナナブレッドもそう。マスカルポーネチーズとオーガニックのココナッツシュガーとシナモンを振ったシナモントーストも人気です。向こうでは朝食にアボカドが出るのが当たり前なので、アボカドを使ったオープンサンドも出しています」

瑞穂さんが作ったバナナブレッドとキャロットケーキ。ここでも、メルボルン時代の経験がいきています!

こういったメルボルンスタイルのカフェ。自然が豊富でマリンスポーツを楽しむ人が多く、カルチャーにも敏感な逗子という土地に、見事にフィットしました。「近い雰囲気」というインスピレーションに間違いはなく、採算もプラスをキープしているようです。最後に、逗子で働きながら暮らすことについても聞いてみました。

「この場所でカフェを開いて間違いはなく、もっと多くの人が集い、コミュニケーションができるようになればうれしいです。休日も海沿いを妻と一緒にランニングしたり、他の飲食店に遊びにいくなど、仕事だけではなくプライベートも充実しています」(晃平さん)。

「小さい青果店や大きなスーパーもあり、普段の買い物には一切困っていません。電車も1本で横浜や東京に出ることができ、始発駅なので座れます(笑)。海が近くてリラックスでき、時間の流れがゆっくりとしています。来てよかったですね」(瑞穂さん)

ビジネスだけではなく、プライベートも満喫しているようです。ちなみに、「BREATHER」には、「息抜き」や「ひと休み」という意味があるとのこと。まさに、そんな場所になっていますが、皆さんも、ぜひお立ち寄りを。

オープンしてから半年が過ぎた『BREATHER COFFEE』。これからが楽しみです!

名称 『BREATHER COFFEE(ブリーザーコーヒー)』
住所
神奈川県逗子市逗子7-6-33 1F
電話番号 046-815-6885
営業時間 平日7時~18時、土日8時~18時 ※定休日 水曜日
駐車場
ペット可/否 店舗にご確認ください。
インスタグラム breathercoffee1020

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