ONもOFFも一変。マインドフルな毎日にー海街ライフスタイル

近年のニューノーマルへの転換で、都心から葉山・逗子エリアに移住する人が増えています。会社員の北戸達也さん・香那さんご夫婦も、そのひとり。便利な都心から逗子へ転居を決めた経緯や、海街『逗子』での暮らしとは

ワークスタイルの変化で海街へ

―― 以前はどちらにお住まいでしたか?

達也さん:川崎市の武蔵小杉です。ここに移住して、1年2カ月になりますね。
もともと私たちはオーストラリアが好きで、現地に住む計画を立てていたのですが、その頃新型コロナウイルス禍がはじまってしまって。
今海外に行くのは難しいけれど、夫婦ともにフルリモートワークになったので、とりあえず都心に住んでいる必要はないなと。それで、どこか海沿いに住み替えようという話になったんです。

―― 最初から候補地は逗子エリアでしたか?

達也さん:そうですね。都心からあまり遠くなく、海も雰囲気もある湘南エリアが良いなと。辻堂、藤沢、葉山あたりで物件を探していました。

当初は葉山に家を買うつもりで数軒見に行ったのですが、いかんせん私は飽き性で(笑)。ずっとこの街にいない可能性もあるので、住み替えやすさや今後の自由度を重視して賃貸を選択しました。
今の家は築30年をリノベーションした賃貸で、広い庭もあるんです。理想どおりの物件だったので、見つけた瞬間「ここだ!」と即決しました。

―― 移住するにあたって、心配や不安はありましたか?

達也さん:このエリアに馴染みはなかったけれど、特に心配はなかったですね。強いて言えば、都内の友人たちにすぐ会えなくなることだったかな。

香那さん:そうですね。都内まで1時間くらいかかるので、私も友人に会いづらくなることが心配でした。これまで行っていた場所に気軽に行けなくなることも、不安でしたね。

自然に囲まれたストレスレスな毎日

―― 転居してきた当初、逗子の街の印象はいかがでしたか?

香那さん:「ここで生きていけるかな?」と思いました(笑)。縁もゆかりもない土地だし、近くに友人もいないし、近所にコンビニもごはん屋さんもないし……。
以前は、仕事で疲れて自炊が億劫な日は外食していたけれど、これからは気軽に外食できない。生活の仕方がだいぶ変わるな、大丈夫かなと、不安になりました。

―― 1年2カ月住んでみて、実際どうですか?

香那さん:断然こちらの暮らしの方が良いです(笑)。自然が近くにあるって、やっぱり良いなと。

以前は「今日疲れたな~」と思ったら飲みに行っていましたが、今は海に行って癒されています。リフレッシュの仕方が変わったのが、すごく良かったですね。
都心に住んでいるときも、近所の河川敷でピクニックしたり、毎月のようにキャンプに行ったりしていたんです。きっと、心身が自然を求めていたんですよね。

達也さん:うんうん。本当に最高ですね!自然が豊富だし、ガヤガヤしていないのが良いですね。都心暮らしのときは人が多すぎたし、皆忙しそうに行き来していて、息苦しさがありました。今はまわりの人の動きに左右されないし、ソワソワ感がまったくなくて、時間がゆっくり流れているような感覚があります。

香那さん:それに、早起きをしたくなりましたね。こちらに移住してから保護犬のむくを迎えたので、朝晩や仕事の合間にむくの散歩に行っています。朝から太陽の光を浴びて、気持ちいいですね。以前はそんな生活は考えられなかったです。

達也さん:私も、通勤の必要が無くても6時台には起きています。7時くらいから始業して、早めに終わらせていますね。

―― 交友関係は変わりましたか?

香那さん:都内の友人と会えなくなるかと思っていたけれど、むしろ皆がこちらに遊びに来てくれるんです。わざわざ来たいと思ってもらえる場所に住めたことも、良かったですね。

達也さん:そうそう。都内の友人とも会えるし、この街でも新しい友人ができたし、結果的に友人がめちゃめちゃ増えました(笑)。休日は常に彼らと一緒にいるので、飽きる日がありませんね。

香那さん:新しく仲良くなった同世代のご近所さんの家で、一緒にご飯を食べることもあるんです。ご近所さん同士の交流も活発で、先日は庭で採れた柑橘でつくった自家製ジャムをお裾分けいただきました。
都内に行くとしても、東京まではちょうど1時間ですし、逗子駅からは大体座れるんです。寝ていればあっという間に着いてしまうので、ラクですね(笑)。

穏やかでアクティブな休日

―― 仕事後や休日の過ごし方はいかがですか?

達也さん:こっちに来てから車を購入したので、葉山方面のカフェに行くことが多いですね。もちろん、サーフィンなどの海あそびもします。


私はDIYも好きなので、葉山の工務店へ修行に行くこともあります。

ダイニングテーブルは達也さんのDIY

香那さん:私は、この辺りで仲良くなった人たちと小さなイベントをやることもあります。地域の人を繋ぐコミュニティをつくっている人がいて、その人が主催するイベントの企画や運営をお手伝いしているんです。近くのカフェにも出店してもらったり、子どもたちが遊べるスペースをつくったりしています。

イベントの様子(香那さん提供)

庭で家庭菜園も楽しんでいて、ハーブ、レタス、みょうがなどを育てています。夏は、トマトやシソを植えようかな。

都心には戻らない。海街『逗子』で広がる夢

―― 今後 逗子・葉山の街でやりたいことはありますか?

達也さん:ん~、なんだろう?

香那さん:やりたいこと、すでにやっているもんね(笑)。海沿いに住みたい、犬を飼いたい、庭で過ごしたい、家庭菜園がしたい……全部かなっている。

達也さん:そうそう、DIYもできているし。

達也さん:そうだ、キッチンカーをやりたいですね。この辺りはコンビニがないので、リモートワーク中のランチや食事に困っている人の助けになれるかと。

香那さん:海の見える古民家で、カフェをやりたいですね。海外の人は自分のお気に入りのカフェがあって、毎朝そのカフェに行くルーティンがあるんです。この街の人たちにとってベースのような、お気に入りの場所をつくりたいですね。
お店の一画でお花屋さんに出店してもらったり、地域の人々の交流の場につかってもらったりできたら最高です。

達也さん:それと、海と街をきれいにしていきたいです。ゴミがすごく気になるので、今も散歩しながらゴミ拾いをしているんです。

―― お二人とも、すっかり葉山・逗子に馴染んでいるんですね。

達也さん:そうですね。この街に来て、人生が良い方向に変わりました。
リモートワークをするにしても、都内の家でするのと、逗子の家でするのとでは、ストレス度が全然違います。自然が近くにある生活って、こうもストレスを減らしてくれるのかと驚いていますし、心がとても充実しています。

もう、都心に戻りたいとは一切思わないですね。次に移住するとしたら、もっとローカルな場所かな。もしこのエリアへの移住を迷っている人がいたら、懸念点を一つひとつ潰してあげられます(笑)。

香那さん:確かに!潰せる自信あるよね。私も、もう都心には戻りたくないです。

Interview&Text:安藤小百合
Photo:中村晃

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